離婚には3つの方法があります。
夫婦の話し合いで離婚する場合です。手続としては、「離婚届」に双方が署名押印し、役所に提出することで離婚が成立します。
話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所に「離婚調停」を申し立てます。調停委員が間に入った裁判所での調停で話がまとまれば、調停離婚が成立します。しかし、この調停でもまとまらない場合は裁判に進むことになります。
協議でも調停でも話がまとまらない場合は「離婚訴訟」を提起することになります。離婚請求を裁判所が認容すると、判決により強制的に離婚が成立します。
財産分与とは、結婚している間に夫婦で築いた財産を、離婚に際して精算する制度です。たとえ名義が一方の配偶者となっていても、他方の配偶者と協力して築いた財産として夫婦共有の財産であると推定され、財産分与の対象となります。
結婚中に夫婦で築いた財産はすべて財産分与の対象になります。現金、預貯金、住宅などの不動産、有価証券、自動車・骨董・貴金属、生命保険などです。
財産分与では、夫婦の共有財産を形成する上での協力の度合いは夫婦で平等であるとして、2分の1ずつ分割するのが一般的です。ただし、個人の特殊な能力や努力によって高額の資産形成がなされた場合には、例外的に割合を修正することがあります。
不貞行為(不倫)や暴力などの「有責行為」が離婚の原因になった場合、慰謝料請求を検討すべきでしょう。
例えば不貞行為の場合は100万円~300万円とする裁判例が多いです。しかし、ケース・バイ・ケースであり、より低額な場合もあります。
不貞行為や暴力などの有責性が高くなると、慰謝料も高くなります。
例えば不貞行為の場合は、次のような要素を考慮して判断されます。
離婚にあたっては父母のどちらかを親権者と決める必要があります。子が10歳を超える年齢になってくると子自身の意思が重要にはなりますが、例えば未就学児で十分に意思表明ができない場合はそうもいきません。
かつては別居の時点で子を手元に確保しているかどうかが重要でした。しかし、これに対しては「連れ去り勝ち」ではないかという批判が強くあり、近年はそれだけで
結論が決まらないケースが多くなりました。
親権者の判断基準の一つが、これまで父・母のどちらが主に子を養育監護していたか、つまり主たる監護者が父・母のどちらであったのかです。今までの監護実績がどうであったかは重要な要素です。
親権者にならなかった親と子との面会交流に積極的かどうかという点も、親権者としての適格性を判断する基準です。
これをフレンドリーペアレントルールといい、近年とくに重視される傾向にあります。
以上の考え方は、離婚前に提起される子の引渡し請求において、子の監護権者を決する場面においても妥当します。
離婚前の子の監護者指定・引渡し請求事件は離婚を前提としていないのに対し、
親権者の争いは離婚を前提としていますので、2つは異なる手続です。しかしながら、実質的にその判断基準が共通していることから、
離婚前の子の引渡し・監護者指定事件は事実上、離婚事件における親権者紛争の前哨戦となっている状況があります。
養育費とは、親の扶養義務に基づく支払いです。
親権者でない親は、親権者となった親に対して、未成熟の子どもの養育費を支払わなければなりません。離婚をすれば一方だけが親権者になりますが、他方が親でなくなるわけではないからです。
「算定表」がよく利用されます。養育費をもらう方(権利者)・支払う方(義務者)それぞれの収入を基準に算定する表です。もっとも、「算定表」に法的拘束力があるわけではありません。
給料や不動産などの財産が差押えられる可能性があります。給料が差押えられた場合、裁判所から会社に「差押命令」が届きます。
養育費については給料の2分の1までの差押えが可能になっています(通常の債権では給料の4分の1までしか差押えできないのが原則ですが、養育費などの定期金の場合は2分の1まで差押えができることになっています)。
家庭裁判所に「養育費減額の調停・審判」を申立てる方法があります。
裁判所は一度決めた養育費は軽々しく変更すべきでないという立場をとっていますが、事情の変化が著しい場合は、減額の請求が認められる場合があります。
事情の変化が著しい場合とは、例えば次のような場合が考えられます。
結婚生活中に住宅ローンを組んで、マイホームを取得するケースは多くあります。
離婚に際して、当該不動産と住宅ローンをどのように精算するべきでしょうか。
まずは、次の4点を資料を取り寄せるなどして正確に把握してください。
①不動産所有名義 | 不動産登記事項証明書 |
②ローン借入れ名義 | 住宅ローン契約書 |
③借入れ残高 | 返済予定表 |
④不動産の価値 | 不動産業者の査定書 |
離婚に際しては、不動産を売却するパターンと、売却しないパターンで分けて、それぞれの精算の方法を検討します。
また、アンダーローンの場合(不動産の価値から、住宅ローンの残高を引いて、プラスになる場合)と
オーバーローンの場合(不動産の価値が、住宅ローンの残高を下回っている場合)で精算の方法が異なってきます。
例えば、不動産を売却するパターンでも、アンダーローンの場合、不動産を売却して、
売却代金から住宅ローンを完済し、残ったお金が財産分与の対象になります。
2分の1ルールで分けるのが原則となります。
一方、オーバーローンの場合、売却してもローンが残ることになりますが、これについては所有名義人が負担するという考え方もあります
、収入を基準に分担する方が公平であるという考え方もあります。
不動産を売却しないパターンでは、不動産の所有名義が誰か、ローンの借入れ名義人が誰か、
離婚後に住み続けるのが誰かの3つの要素によって複雑に分かれます。詳しくはご相談ください。
配偶者や同棲相手から暴力を受けた場合は、まず警察か配偶者暴力相談支援センター(DVセンター)に相談をしましょう。 警察かDVセンターに相談した上で、地方裁判所に「保護命令」を申し立てて、これが認容されれば、加害者に接近禁止命令や退去命令が発令されます。
被害者の近辺に6ヶ月間近づくことを禁じる命令です。
被害者と加害者が同居している場合、加害者をその住居から2ヶ月間退去させる命令です。
加害者が保護命令に違反した場合は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられます。