残業代請求/労働条件変更/パワハラ/労災請求/退職勧奨/雇い止め/解雇
いわゆる残業代とは、法定労働時間を超えて働いた場合の「時間外手当」のことをいいます。労働基準法は、法定労働時間を1日8時間・1週間40時間と定めており、また労働者に毎週少なくとも1回の休日を与えなければならないとしています。時間外手当については一定の割増率を乗じた割増賃金が支払われなければなりません。
時間外労働 | 125%以上 |
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休日労働 | 135%以上 |
深夜労働 | 125%以上 |
未払い残業代をめぐるトラブルは年々増加しており、解雇やパワハラと並び、労使紛争の多くを占めるようになっています。使用者が意図的に残業代を払わないケースのほか、法律上払うべき残業代が知らずに払われてないというケースもあります。
労働者との個別の合意によって変更する場合と、就業規則によって変更する場合が考えられます。よく問題となるのは労働者側に不利益な条件変更です。
雇用も契約ですので、使用者と労働者との合意によって労働条件を変更することが認められます。もっとも、労働者側に不利益な条件変更については、労働者側が「真に自由な意思」で合意したことを要するという判例もあります。また、いわゆる「黙示の同意」の認定について裁判所は慎重な立場をとっています。
労働契約法は、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときに不利益変更を認めています。かなりケースバイケースの判断になりますので、弁護士にご相談ください。
近年、異常なまでに急増しているのが、職場におけるパワハラ、イジメ、嫌がらせなどの問題です。無意味な作業や過酷な業務を命じるといった典型的なケースのほか、直接的な暴言・暴力が加えられるケースもあります。リストラや退職強要の手段として用いられている場合もあります。
パワハラ、イジメ、嫌がらせに対しては、不法行為による損害賠償請求や、使用者の就業環境整備義務に基づく請求など民事での対処が中心となりますが、暴力などの犯罪行為がある場合は刑事事件を視野に入れる必要があります。いずれの場面でも証拠を確保することがとても大切であり、録音やメモで記録しておくとよいでしょう。
労働災害によるケガや病気については、労災保険から補償を受けることができます。これは労働基準監督署での手続になりますが、補償内容に慰謝料などは含まれてい ません。
使用者(事業主)に安全配慮義務違反などの責任がある場合は、別途、民事での損害賠償請求を行うことができます。
いわゆる希望退職と退職勧奨は区別する必要があります。「希望退職」は労働者側からの雇用解約の申し入れであるのに対し、「退職勧奨」は使用者側からの雇用解約の申入れとなります。
したがって、労働者側は、退職勧奨に応じる義務はありません。労働者側が拒否しているにもかかわらず繰り返し執拗な退職勧奨が行われた場合、違法な「退職強要」として損害賠償請求の対象となる場合があります。
一般に「正社員」と「契約社員」は区別して扱われていますが、実は労働法ではそのような区別はありません。労働法は、雇用期間の定めのない無期雇用なのか、期間の定めのある「有期雇用」なのかを区別しています。
有期雇用においては、契約更新の繰り返しにより、長い間雇用を続けていたにもかかわらず、突然、契約更新をせずに期間満了をもって退職させる「雇い止め」が大きな問題となっています。
労働契約法は、過去の最高裁判例を法律化し、契約上は有期雇用でも、無期雇用と同視できる状態の場合や、下表の判断要素に照らして契約更新を期待する合理的理由がある場合は、使用者は正当な理由がないと契約更新を拒否できないとしています。
よく問題となる解雇に、「懲戒解雇」と「整理解雇」があります。
懲戒処分として行われる解雇であり、解雇に値するほどの懲戒理由があるかどうかが問題となります。
整理解雇にはいわゆる「4要件」があります。
この4要件をクリアするのはかなりハードルが高いといえるでしょう。要件を満たさない解雇は不当解雇となります。